カラッと晴れた天気が似合う街もあればその逆もある。高千穂は後者だ。雨が降るような折には、この辺はすぐにガスる。雨が降るときにはあのコンクリートの匂いが立ち込めるものだが、この辺は違う。雨が蒼に降り注ぎ、自然のアロマオイルの香りがする。それが澄み切った空気に溶け込み、息をするのが心地よい。ということもあり、小雨でも特に気にせずプラプラと散策している。

青葉大橋からの眺め。なんて美しい蒼の重なり!

買い出しがてら、また探索に出かけた。ここに来てから見つけたお気に入りの散策路を通りまずは高千穂峡へ向かう。地元の方たちは口を揃えて、もう何年も行っていないなと言っていたが、ここが徒歩圏内というのはどう考えても贅沢だ。楽しそうにはしゃぐ観光客の脇を、手ぶらのゆるい買い出しスタイルで通りすぎる。住みたい場所に住むっていいもんだ。

増水で休止の日も多いらしいボート

王道ルートで家に戻ってもよかったが、グーグルにくねくねとした細い道が通っているようだったので、遠回りになるが、行ってみることにした。人を見かけるのは、やはり観光地の滝周辺に限られていて、くねくね道を歩いているのは誰一人としていなかった。

高千穂太郎のお墓

先日、「観光地を周ったら、神社めぐりをしたらどう?」と冗談混じりに言われたのだが、ここ高千穂には数えきれないくらいの神社がある。高千穂の神社スタンプラリーなんてものがあったとしたら、きっと何年もかかってしまいそうな気がする。鳥居や祠は、散歩をしているとよく見かけるので、この光景も見慣れてきた。

無人の野菜販売所

集落の中心部にたどりつくまでに、無人の直売所にいくつか立ち寄った。生産者の方が持ち込んだ新鮮な野菜が置かれ、この日は栗やみょうが、原木しいたけなど秋の野菜たちを手持ちの小銭分買い込んだ。たくさん詰められているのにスーパーより値段は安く新鮮だ。高千穂に来てから、旬の野菜がパッとわかるようになった。

ある販売所で美味しそうな野菜を吟味していると、車で地元の人が何人かやってきた。少し立ち話をし、あそこから歩いてきたのだと話すと、かなり驚いたようすで近くまで送っていくよと言ってくれた。丁重に断り、パンパンになったエコバックを携え小雨のなかを再び歩き始めた。

こういう面の表情に惹かれる

橋の上から見渡すと、息をのむような絶景が広がっていた。思わずため息が出た。

これが日常なんてほんまレベル高いわ〜

これだから、また時間を見つけてはぷらぷらと散策したくなるのだ。それも、雨が降ってガスってるときに。

苦手なみょうがも新鮮でぷりっとして美味しそうだったのでついつい買ってしまったが、果たしてうまく使えるか。販売所で出会った女性に簡単なレシピを教わったので作ってみよう。買った野菜を食べるのが楽しみでしかたない。