アゾレス諸島でのそぞろ歩きを思い出すような、ゆったりとしたムード漂う山口市秋穂二島美濃ヶ浜。その穏やかな景色に溶け込むヨットクラブ、CAPE HOUSE(ケイプハウス)を訪ねました。

ブルーとホワイトの屋根が目印、CAPE HOUSE
クラブの皆さんにご挨拶

日焼けした肌に、身長190cmのスラッとした長身の男性。ダンディーで気さくな雰囲気のこの方は、CAPE HOUSE代表の内藤幸一郎さん。さあさあ座って、座ってと温かく出迎えてくれました。足を踏み入れた瞬間から、”私の海の別宅”といったアットホームな雰囲気が漂う空間。今は居心地のよいこの場所も、1999年の台風では建物、ヨットもろとも壊滅的な被害を受けたようです。

「あのときはもうやめようかなとも考えたよ。でも自然とボランティアが集まってくれてね、見事に復活したんだよ。皆、自分の家のように気にかけて力を貸してくれた。本当に感謝しているよ。」当時の写真を見せながら、内藤さんはどこか嬉しそうな表情をうかべていました。

「このケイプハウスには細かいルールがないんだよ。皆自由に来て自由に過ごす。それで規律が乱れたり空気が悪くなるかって?それが不思議なことにならないんだよ。そういう空気が入ってきても、ほんとに自然なかたちで元に戻っていくんだよね。自由だからね、僕は特に何もしないんだけどね。」

後に、スタッフの方々が口を揃えてこう言いました。「オーナー気さくでしょ。経歴言うとすごい人なんだよ。でも、全然自慢しないし偉ぶらないんだよ。あんまりそういうの好きじゃないみたいでね。ただ、皆ここが好きで自然とこの場所に集まってくるんだよ。」

CAPE HOUSE代表の内藤さん

自慢したり、肩書きを振りかざすのは簡単だけど、こうして周りの人たちから語られる話こそ真実。皆の表情やクラブの雰囲気がオーナーの人柄を表現していました。皆このケイプハウスが好きで、オーナーが好きで、ヨットが好きで、だからここに集っているのです。シンプルな流れです。

オーナーのちょうど後ろにはカーペンターズのレコード。

「昔さ、世界で活躍する海外の選手たちを見ているとね、地方でもかなりの実力をもった選手がたくさんいたんだよ。大都市とかそんなの無関係。だから日本でも、地方でできない理由なんてないはずだろって思ったんだよね。当初はなかばそんな怒りでこのクラブを始めたんだ。世界で通用する地方のクラブをこの土地で作ろうってね。ワーケーション?そんな言葉がいつ生まれたのか知らないけど、ここではずっと前からそんな感じ。」

都市から地方へ。

昨今、その言葉に時代がようやくついてきたような感じますが、実際、ここCAPE HOUSEでは、はるか昔からその先を見据えて活躍する人々が集まります。初心者から世界選手権に出る選手まで。

クラブハウスの2階はくつろぎの空間。外には手作りのジャグジープールもあったよ

「またいつでもおいで。歓迎するよ。」温かい家のような、穏やかだけど、刺激的な場所。