ここモントリオールはフランス語が公用語なだけあって、地名もフレンチの響きが心地よい。ショッピングも観光地巡りも何か違う。街ブラついでに公園へ散歩に出ることにした。地下鉄からはバスも利用できるが、町を散策しながら公園に向かうことにした。学生さんたちをたくさん見かけるのは、ここにマギル大学があるためである。(ハリポタの’マグル’と間違えそうになる)

ここモン・ロワイヤル公園はダウンタウン西部にあり、広大な敷地のなかで市民がくつろげる場所になっている。ジョギングをする人、サイクリングをする人、日光浴をする人、絵を描いている人、地元の友人たちと談笑する人、ご夫婦で散歩する人etc。都会で整備された公園だが、自然が多く、皆思い思いにリラックスして過ごしていた。

標高232mの小高い丘になっており、ちょっと散歩するのに最適

上る途中、一人の白髪の老人に話しかけられた。笑顔の素敵なおじいちゃんで、モントリオールはどうだい?と尋ねてきた。

「ヨーロッパが好きなので、フランス語の響きが聞こえてくるここは居心地がいいです。もし、カナダで語学留学するならここかな。トロントは都会だけれど、自分にはなんか違うように感じました。」

ヨーロッパ”の言葉に反応した老人は嬉しそうな笑みを浮かべ、

僕の出身はそちらのほうでね。ヨーロッパが好きと聞いて嬉しいよ。その当時の歴史的な流れで各地を転々としてきたんだ。そのたびに、新しい言語を覚える必要があってね。語学の勉強に興味があったわけではないけれど、ただ生きるために習得したよ。今でも5、6ヶ国語は流暢に話せるよ。’分かる’というレベルならもう少し増えるけどね。ただ、英語を習得したいならここは不便だよ(笑)皆英語も話せるけど、基本フランス語だからね。トロントかバンクーバーのほうがいい。

日本に生まれ日本で育った私には、それがはるか遠い昔のおとぎばなしのように聞こえた。歴史は、書物だけでなく確かに現実に結びついている。世界史の知識はほぼ抜け落ちているし、覚えていても、受験対策の授業でどこまで学んだのだろうか。それに歴史は見る視点が違えば、全く異なる事実を生み出してくる。改めて調べてみるのも面白そうだな。

「いやあ、楽しかったよ。ありがとう。この先も楽しみだね。君に祝福を。」彼はおでこに軽くキスをし、自分はゆっくりと上るよと言って私たちを見送った。

丘の頂上にある施設

少し汗ばんだので水分補給をしてしばらくここで休憩。

頂上からの街並み

ちなみに、この公園はニューヨークのセントラルパークを手がけた造園建築家の設計によるものらしい。家の近くにこんな公園ほしい。