五島との出会い

ダイナミックな景色とのどかな五島

私が長崎の五島という場所を初めて聞いたのは大学時代だった。入学して間もない頃に仲良くなった友人は五島出身で、そこがいかにのどかな地域であるかを教えてくれた。彼女自身は進学のために五島を出たが、都会のほうが性に合うので多分戻らないと思うと言っていた。当時の私も、不便で何もない島や自然豊かな場所よりも街での生活がよいと考えていたので特段気に留めることもなかった。

そして、これも大学での出会いになるのだが、進路指導員の先生が五島出身だった。いつもピシッとスーツを着こなし立ち姿だけで雰囲気のある男性だった。面接の実践指導のポイントは的確で、エントリーシートの添削などは赤ペン先生を彷彿とさせる美しさで返却してくれた。学生時代のぐちゃぐちゃとした気持ちをさらりと温かく解いてくれるような穏やかな話し方も好きだった。憧れの大人はと聞かれれば、まずこの恩師を最初に挙げただろう。

「ものを書くのが好きなんだね。実は僕も1冊出していてね。なに、そんな自慢できるものでもないし、この話は君が卒業したあとにでもまたゆっくり話そう。」

少し照れ笑いをしながらそう言った先生は、私がまだ在学中だった数年後に他界した。闘病中であることは知っていたが、心の整理がつかずいつものように進んでいく日常に違和感を感じていた。数ヶ月間もぬけの殻のように過ごしていた。恩師と交流した回数や期間が多いわけではなかったので、近しい友人などは少し不思議そうにしていたが、人との出会いの衝撃度というのは多分その時間だけでは測れないものなんだなと感じていた。

会いたいときに、会いたい人に会おう

そんな思いが強くなったのもこのときからだったように思う。

いざ五島へ

社会人になってから年月がたち、ふと五島に行ってみようと思いたった。と言っても、島の概要や交通アクセス、島内移動手段など知らないことだらけだったので、情報収集からはじめた。

五島行く人必携、地球の歩き方。詳細なアクセスや観光ポイントが網羅されていておすすめ。下調べの大枠はこれでOK。

今回は長崎港からカーフェリーで福江港を目指すことにした。3時間10分かかるけれど、最安値。時間に余裕がなければ、少し値段は上がるが高速線も出ているのでそちらを利用するとよい(所要時間;1時間25分)

長崎港から五島のダイヤと運賃

五島列島は150の島々から構成されているが、今回は予定も限られているので、五島列島最大の島、福江島を訪れることにした。見どころは島内に点在しているため車は必須。レンタカーを借りて島内をドライブ。島の海岸は絶景が続き、何時間でも見ていられる気がした。穏やかなドライブはこれだけでも行く価値はあるように思う。

福江島の七ツ岳登山にて