ドバイで乗り継ぎし、リスボンに到着した。出国前夜、好きなリタ•オラのライブに参戦し、憧れのエミレーツCAさんに混じって出国ゲートに向かった。夢心地のまま日本を経った。

このリスボンの土地に降り立った瞬間、ここ最近感じていた、正とか負とかで定義できないごちゃ混ぜの気分がすーっと馴染んでいく感覚があった。
空港でvodafone simとviagemカードを買い、地下鉄を乗り継いで宿泊地に向かった。
チェックインにはまだ少し時間が早かったので、ホステルのスタッフさんおすすめの、”値段も手頃でいい店が並ぶエリア”に散歩に出た。道は石畳だが、穏やかな雰囲気が歩きやすい。ポルトガルと言えばの市電があちこち走っている。

憧れていてもどこか息苦しい場所や、好奇心よりも不安が勝ってしまうような場所もあるが、ポルトガルは不思議なことに、もとからそこにくることが分かっていたかのように心地がよい。
ウィーンやパリでは入る人を選びそうな厳かな門構えに狼狽えたお店もあったが、ここではどの店もぶらりと入ってしまいそうな魅力的な雰囲気が漂っている。(住んだなら、端から1店舗ずつ入店しそう)ポルトガル語はわからなかったが、ポルトガルの人は穏やかで、そのやりとりも心が和むものだった。

街の雰囲気は違うが、クラシックな外観と、オレンジ色の屋根は大好きな国のひとつチェコを彷彿とさせた。


ホステルに戻ると、ホステル内はランナーの格好をした人で溢れかえっていた。宿泊客のおじちゃんに話しかけると、ブラジルからマラソンに出るためにやってきたのだと言う。誇らしげにメダルを出して見せてくれた。同じポルトガル語圏なのでポルトガルは来やすい場所だと言っていた。
同じポルトガル語と言っても、違う言語かなと思うほどにその発音は異なっている。

ホステルを出ようとすると電話がかかってきた。元職場の同僚からだった。
「もし予定空いてたら、今週末飲み会きません?」
「リスボンにいる」
「え、どういうこと?え、また外出てます?笑」
奥で懐かしい皆の笑い声が聞こえてきた。遠く離れた心地のよい土地で懐かしい声を聞き、まるで本当のホームかのような錯覚を覚えている。