心配になるくらいのどかな風景のなかをドライブし、長門市油谷地区にある東後畑棚田を訪れました。日本棚田百選にも選ばれたこちらの棚田。毎年、多くのカメラマンがこの土地を訪れ、思い思いの作品をファインダーにおさめるのだとか、夜に(笑)

というのも、夕暮れの日本海に輝くイカ釣り漁船とのコラボが最高に美しいのだそう。いいよ、いいよそんなの。だって今、この景色のなかに私たちしかいないもの。じゅうぶん贅沢です。

東後畑棚田

季節、時間帯によって異なる顔を見せるこの美しい場所、実は私有地。農家の方のご好意で撮影スポットになっているようですが、ご年齢のこともあり棚田のメンテナンスが追いついていないそうです。この状況に満足せず、作為的な行動をするカメラマンもいるようで、下記のような看板がありました。

せっかくの景観のなか、この看板を出さないといけない現実。少し悲しくなりました。小さな庭の草木でさえ、メンテナンスが行き届いていなければすぐに荒地と化していきます。みどりを”美しい状態”で保つというのは本当に難しいですね。人工的な舞台装置ではないから、状態は目まぐるしく変化していく。そして、だからこそ同時に、人の存在とうまく調和したとき、最高の美しさを見せてくれます。

棚田の向かいにある深田ため池

棚田訪問をリクエストしたのはこの私なんですが、そんなこんなで、棚田以上に目を奪われたのは向かいのため池でした。水面も微動だにしない静かなため池。大勢のカメラマンが海側を向いて撮影に没頭しているときも、ただ静かにそこにあるのだろうなと思うと少し愛おしくなる場所でした。

ため池の小脇で手作りのおむすび(梅おかか)でも食べたいななんて思いながらぽけ〜っとしていると、「さあ、もう行こうか〜」と片山さんと高尾さんの声が聞こえてきました。片山さんの運転する車に乗り込み、次の目的地に向かいます。そう、今日はまわる場所が盛りだくさん。