タンジャブールのスイートな時間
夜カフェ探訪
夜、かずえさんと一緒にレストランに向かった。ホテルの隣には雰囲気のよいレストランがあり、お茶とちょっとしたスイーツを食べに行こうということになったのだ。旅先でのこういう時間が大好きだ。

レストランは田舎の静かな通りに面していて、このあたりに他のお店は見当たらず、夜に灯りがともる貴重な場所のように見えた。店内の雰囲気もよく、数名のスタッフの姿が見えた。店内に入り、カフェ利用したい旨を伝えた。
すみません、スイーツ等カフェメニューはないんです。
かずえさんと顔を見合わせた。チェンナイのような都会であれば他の店を探せるが、ここらに店は見当たらない。この静かで心地の良い環境と引き換えに、今回は夜カフェタイムをスキップしなくてはならないのかと落胆した。
ホテルも居心地いいし、テラス席でお茶でもしようか。
レストランの門を出ようとしたそのとき、一人の男性が後ろから追いかけてきた。
君たちは、ティーとスイーツをご所望と言うことで間違ってないかな?
きょとんとする私たちに、外の特別席に座って待つように告げ、男性は店の中に消えていった。戸惑うまま、私たちはラフにその場に腰掛けた。しばらくして、男性が笑顔で戻ってきた。彼が抱えるお盆には、ティーとちょっとしたスイーツが乗っていた。

僕はここのオーナーなんだよ。君たちの話が聞こえてね。僕が特別に作ってきたよ。口に合うといいんだけど。ゆっくりしていって。いい時間を。
感謝を伝えると、お代はいいからね、と颯爽と去っていった。
粋なオーナーのおかげで素敵な夜カフェタイムがはじまる。
入門してまだ数ヶ月の私が、旅の前にかずえさんとお会いしたのはたった1、2回だったが、この旅では、かずえさんご夫妻に本当にお世話になった。お二人の存在がとても心強かった。
これまで皆からチラッと聞く情報の断片に、かずえさんからもっとじっくりといろいろお話を聞いてみたいと思っていた。舞踊や仕事、プライベート、イギリスの話。世界を舞台に、多くの経験をされてきたそのお話はとてもおもしろくて刺激的だった。オーナー手作りのティーとスイーツは、素朴な味わいで美味しく、タンジャブールの雰囲気に見事にマッチしていた。かずえさんから聞くストーリーはそこに心地のよい余韻を残していた。なんて、スイートな時間なんだろう。まだまだ聞きたいことがたくさんある。かずえさん、素敵なお話ありがとうございました♡続きは、また日本で。