スパイスは舞踊に通ず

バラタナティアムその前に

私自身、これまでインドラブ♡だったわけでもなく、ヨガに精通しているわけでもない。大学時代、”一生行かないであろう国”に(勝手に)認定してから、地図上にぽっかり空いた国。通り過ぎる旅人たちの熱を帯びたインド話も、読み応えのあるフィクションでしかなかった。

そんな感じでインドとは縁遠いところにいた私が、南インドの土地で、大好物のターリーを毎日めいいっぱい頬張っている。俯瞰するほどに不思議な気分で仕方がない。

バラタナティアムをはじめたきっかけはなんですか?

この質問は、聞いたり、聞かれたり、私も興味のあるトピックのひとつだ。前に何度か書いているが、私の場合、南インド飯が南インド文化との最初の接点だった。複雑なスパイスの魔法、リトルインディアでクリシュナさんから教えてもらったターリーの奥深さ、一瞬で虜になった。ちなみに、昨年ラングデで出会ったトリダーラ舞踊家のかおりさんも、舞踊との出会いのきっかけは料理であったらしい。スパイスは舞踊に通じているらしい。え?

スパイシーファンタジア

リトルインディアでマッキーがそうであったように、ここではスパイシーが苦手な人にとって究極の試練が待っている。もちろん、全て自炊すればなんら問題のない話なのだが、彼らがよく言う”全部カレー味”。ある意味、間違ってはいない。スパイスが好きなら、夢の国。

清々しい朝に目を覚ます。ホテルに朝食が付いているならば、たいてい夢のビュッフェが待っている。給仕のスタッフに、”よく食べるヤツだな”とか、”こいつはこの食事がどうやら好きらしい”と認定されたならば、無限におかわりをついでくれる。

食事終わりに格別のチャイで一服して、おまけにフィルターコーヒーもいっとくか。

喧騒のなかを走り抜け、裸足の足裏からは、カラフルで”生”を感じる街のエネルギー。

朝食をたらふく食べたのに、あたり一帯から漂うスパイスの香りに引き寄せられてランチタイム。豪華な佇まいで美しく整えられたレストランは外国人を意識した味付けで(衛生的な)安心感はあるが、忘れられない飯ランキングにノミネートするのは、地元の人が次々と入ってくるリーズナブルなピュアベジの飯屋だった。

毎日ターリー頼むのはなんだかつまらない?これが、魔法にかかったように結局いつもターリーを注文してしまう。複雑に重なり合うスパイスが食欲をそそり、ぺろりといけてしまう。やはりこれもおかわり自由。なんてことなの、夢の国。

1日の散策を終えた夕方、興奮で疲れを忘れた体にターリーは自粛。少し軽めのドーサをいただく。

うまい、うますぎる、絶妙な味変が天才的だ。シメに、インドスイーツを頬張りにいく。例外なく甘いけれど、これがチャイに合う。ああ、覚めないでスパイシーファンタジア。