もりおか啄木・賢治青春館

大正デモクラシー

国の重要文化財にも指定されているこちらは、明治期の銀行建築でありながら大正・昭和初期建築の特徴があり、先駆的で独特なデザインとして評価されている建物のようです。

そんな第九十銀行として利用されていたこの建物が、現在「もりおか啄木・賢治青春館」として利用されています。

館内の階段を上がっていると、品のよい洋風のつくりに、欧州での思い出がふと湧き上がってきました。

館内(階段を上がると期間限定のギャラリー展が開催)

もりおか啄木・賢治青春館

年齢差10歳の2人は、青春時代のそれぞれの約10年をここ盛岡で過ごしています。2人とも盛岡中学出身。たまに学校を抜け出して、近くの岩手公園(盛岡城跡公園)で本を読みふけることもあったそうです。

正直なところ、教科書程度の知識で興味もあまりなく、彼らの作品もちゃんと読んだ記憶がありませんでした。むしろ、独特の文体、言い回し、ジャンルに苦手意識がありました。学生時代に国語便覧を読んで感じていた、この時代特有の薄暗さみたいなものも苦手要因のひとつです。

しかし、大叔父の言葉と、姉さまから聞く情報で、徐々に気に留めるようになった2人の存在。この土地だからこそ見れる情報もあるに違いない。2人が過ごした盛岡の街を歩きながら、2人もこんなふうにこの街をそぞろ歩きしたのだろうか、そんなことを考えながらこの場所に辿り着きました。

重厚な正面入り口

”興味わかなかったらすぐ出よう”なんて思っていたのに、気づけば数時間過ごしていました。2人について詳しく知らなくても、ここのパネルが全て教えてくれます。案内パネルは読むのが面倒になり、すっと通り過ぎてしまうことも多いのですが、久しぶりにじっくりと読み耽りました。彼らが過ごした土地に自分も立っているという、親近感となんとも言えない高揚感があったからかもしれません。

館内カフェ

この場所は、盛岡で一番来てよかったと感じた場所です。大叔父にもいい土産話ができました。入館料は無料なので、特に文学に興味がない方もふらっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。意外な発見があるかもしれません。