ウィーンの躁鬱
戸惑いのカムバック
ここにまたやって来るなんて思ってもなかったわ。わからんもんやな。
駅前のホステルに重い荷物を預けて市街散策に出た。ウィーンを訪れたのはこれで2度目になる。いやに眩しい太陽が前回の訪問とはあまりに対照的で、ほんとうに同じ場所に来たのだろうか?と眉をひそめながら空を見上げた。

こんなにハツラツとした街は記憶と合致しない、調子狂うなあ。(無理に明るくしてない、ウィーン?)

それでも、記憶のなかに鮮明に残るこの景色に遭遇すると、ここは確かにあのウィーンなのだと認めざるを得なかった。あのときから加工技術が向上し、まるで違うフィルターをかけられたみたい。


街なかには感じのよい大小さまざまなカフェが点在し、雰囲気だけでなくどのカフェも食事のクオリティーがいやに高い。プラントベースメニューも充実し、(円安なのが嘆かわしいが)カフェ巡りだけで何日か過ごせそうだ。青い空に心地のよい音楽と馬の足音が聞こえてくる。妙にウキウキしてきて、運ばれてきたアプフェルシュトゥーデルを頬張った。

以前は霞んで見えていなかった景色が、一気にどんどん見え始めた。
なんや、ええ街やん

2015年の足跡
2015年にブログはしていなかったけれど、こんな記録を残している。


読むとすぐにあの頃の気持ちが蘇ってくる。寒くて、定規で書かれた建物はどこかよそよそしくて、びしょ濡れで、バックパックは重くて、”温かい場所”も見つけたけれど、”ここは私の場所じゃない”と思うほどに薄暗くて重い、”ダンケの街”だった。だから、ウィーンからザルツブルクへの移動日、まだ真っ暗な早朝、どこか飄々としながらガランとした街を通りすぎたとき、ふとこう呟いたのだ。
ここはもう来ることはないだろうな。
ちなみに、ザルツブルクに到着するなりカラフルな別世界に変わり、心浮かれて旅のハイライトとなるサウンドオブミュージックの記念ガラコンサートに参加した。このコントラストがあまりに強くて、私のウィーンのイメージはさらに彩度を落としていった。

2015年のヨーロッパ周遊旅は、今でも印象的な旅のひとつだ。初めての海外一人旅だったし、初めてのバックパッカー旅だった。それまでも個人旅行でプランニングを率先して立ててきたし、もう海外にも慣れてきたという自負はあったけれど、一人旅の不安感が心の奥底に張り付いていたように思う。

再び降り立ったウィーンの土地で妙にウキウキしてきた私は、2015年のウィーンでやり残したことをコンプリートすることに決めた。今回のために取っておいたのかもしれないな、なんて思えてくる。すっかりウィーンが好きになっている。