雨女の憂い

ヤンカクラーラ公園

オーストリアからずっと、やたら晴れている。おかしいなと思いながらも、ずっと続くお天気にこの日は相棒の超軽量傘をカバンから取り除いてみた。中心地から歩いていける自然豊かな公園があるというので行ってみることにした。

リバーサイドのカフェ

ブラチスラバはドナウ川を挟むかたちで街が作られていて、これがあの入国時のドタバタ劇になったのだけれど、あれ以降反対側の岸に渡るのがトラウマになっている。けれど、その自然公園は対岸にあるのだから仕方がない。例の因縁橋を避けるかたちで別の橋を渡っていくことにした。ドナウ川、広いなあ。

橋には歩行者道もありどうにか到着したが、旧市街の道路以外は全て車主体の道路になっていて横断歩道など使い勝手が悪かったように思う。(もう歩いて橋渡りたくない症候群)

ここから、ドナウ川が近いのでリバーサイドを歩くことにした。

ドナウ川のうなり

リバーサイドには遊歩道もあり、ここから眺めるブラチスラバ城はとても美しかった。

そう思っていたのも束の間。みるみる雲が厚くなり、雷鳴が轟き始めた。

これはまずいので引き返そうと思ったが、調べてみると、因縁橋から帰ったほうが時短になるらしい。迷ってる暇はない。それでも、ドナウ川の流域面積が恨めしくなるほど遠い遠い道のりだった。

だんだん本気でやばくなってきたので、橋を渡るのをやめて近くの建物やスペースに戻る人もチラホラ。ドナウ川の状態が明らかにおかしい。皆パニック状態になっていた。ああ、雨女、不覚にも相棒持せず、豪雨に遭遇。やっぱりなという落胆と焦りと豪雨で増水した川の恐怖。今回は歩行者道を通るが、またもや事件は因縁橋にて。荒れ狂う突風がドナウ川の水持ち上げててずぶ濡れ。

ここから先は余裕なくなりとにかく安全確保のため旧市街を目指した。雨宿りをしようにも、意外にも建物の屋根がない。ずぶ濡れのまま、豪雨で混み合ったカフェに入る気分でもなく、ただただ豪雨のなか石畳を走り続けた。サンダルで来たのは良かったのか、悪かったのか。決死のダッシュでミハエル門に辿り着く。

晴れの日のミハエル門

あんた、ずぶ濡れじゃないか。冷え切ってそうだし。こんな視界も悪いなか走って出るのは無茶だよ。まだしばらく止まないだろうよ。雨宿りしていきな。そのほうがいい。

地元の人らしきご老人が、少し驚いたような様子でそう言ってくれた。ミハエル門では数人が避難していて、門の下で雨宿りする様子は何かの映画のような光景だった。皆不安げに外を見ている。

ありがとうございます。けど、九州の梅雨にも慣れてるんで、大丈夫です!

え、私何言った(笑)?雨女のプライド?”九州の梅雨”とかスロバキアで出してきてしまった、と自分でもおかしくなりながら、すごいねとまた驚くご老人に挨拶し門からまた勢いよく飛び出した。そうか、門にはこんな役割もあるんだななんて思いながらホステルを目指してかけていった。

それ以降、少し違った目線で門を眺めるようになった