丘の上から運河沿いへ
丘、町、そして運河
マットが丘の上のパブで会合があるというので、一緒に連れてきてもらった。どうやら、ここにも無数のパブリックパスが張り巡らされているらしい。

丘の上からはコッツウォルズの町が見渡せる。家のまわりにも自然は多いけれど、こうやって鳥瞰図的に眺めると、「ここが聞いていたコッツウォルズか。あのストーンハウスの。」などと少し感慨深くなってくる。

微動だにしない牛たちに、一瞬置物かと思ったが、本物だった。牛たちに道を阻まれながら潜り抜ける道は、アゾレス以来だっけ。

まばらだが、犬の散歩をしている人や日課のウォーキングを楽しんでいる人たちの姿も見かけた。丘をおりていくと、いかにもハイキングルートらしいルートになって、観光客の姿も見かけるようになった。

連日の丘歩き、裏山散策で思ったことがあって、イギリスのハイキングはあくまで”丘歩き”だと言うこと。「高い山はないね。あっても丘だね。」そう幾度となく耳にしたが、ここにあるのは高い丘でもない。忍ばせてきたエマージェンシーキットや、念のためのゲイターや、トレッキング仕様の愛用バックパックでさえも、いささか過剰に思えてきて、次からさらにゆるい”パジャマ仕様”で来ることを誓った。



ふもとの村に降りてくると、煉瓦造りの建物とコミカルなポスターの貼られた木の電柱があった。コッツウォルズとは言ってもその範囲はとても広く、村によって建築様式が全く異なっていて、雰囲気は全く異なっている。

それでも都会の景色とは違っていて、これがイギリスのカントリーサイドの雰囲気なのか、と目に焼き付けた。エミリーに連れていってもらったティスベリー界隈の村もたいそう雰囲気が良かったが、ここも派手に観光地化もされておらず、過度に可愛さが過ぎることもなく地元の人たちの日常が広がっていて、好感が持てた。渡航前、ヴィクトリアさんやトニーさんがおすすめしてくれた”イギリスカントリーサイドの良さ”みたいなものが滲み出ているような気がした。

ドイツも好きな国のひとつだが、ライン川に沿って立ち寄った土地は、とても雰囲気はよかったのだが、過剰に観光客向け仕様に整えられていて、どこかテーマパークのような印象を受けた。このトピックはこれまでにも何度か記事に書いた気もするが、テーマパークは自分の場所ではない。テーマパークピーポーの友人たちには申し訳ないが(笑)あの場所で楽しむ自分の姿を想像しては滑稽に思えてくるのだから仕方がない。

特に険しい道もなく、順調にストラウドの町、そして町に並走する運河にやってきた。この道に沿って歩けば、いつか家に着くらしい(まあまあ長い)。
白鳥のリアルライフ
絵画的な光景が広がる運河沿い。夏の緑が鮮やかだ。

白鳥に睨まれたことはありますか?

そう、ここまでは順調にきていたのだ。1本道で迷うこともなく、乗り越えなければいけない障害物もなく、美しい景色を愛でながら、まさに夏の散歩道にふさわしかった。ここまでは。

突如現れた白鳥ファミリー。一本道なので、ここを通らなければ家に帰れない。けれど、”白鳥”と聞いて浮かんだのは、優雅な白鳥の湖。先日皆で見た光景があったからかもしれない。彼らは、穏やかで優雅なのだ。(そう、バレリーナも白鳥の真似して踊ったりするくらいだし←)
とりあえず、目線を合わせず、”知らんぷり作戦”で行くことに。各国の放牧牛やエストレラ犬など、これまで知らんぷり作戦で潜り抜けた道も多く、これはちょっとした自慢だった。

優雅な彼らに敬意を払いながら、そろりそろり、狂言師のすり足のような感じで進んでいくが、間髪いれず威嚇攻撃が始まった。ものすごい剣幕で睨みをきかせ、こちらに向かってきた。
こりゃ、あかん、、
彼らを傷つけたいわけじゃない。私も家に帰りたいのだ。運河に降りてびしょ濡れ迂回か、、それとも。

何分か粘ったがここまでくるとこっちも必死になってきて、”5m前からクラウチングスタートでジャンプして飛び越えるか”などと本気で考えて後退りしたところ、神の(紙の)お告げを発見。中学テニス部以降、未だにこういうところに変に自信が出てくるから怖い(笑)

神のありがたい啓示に従い、示された迂回ルートへ向かった。穏便解決できてホッとした。
それにしても、白鳥ってあんなに睨んでくるんだ、、。
子どもを守る親白鳥の気迫はすごかった。
無事、運河沿いにもどり、再び穏やかな散策が始まった。壁沿いにはトゲトゲのベリーがたくさんなっていて、映画に出てくるような老朽化した煉瓦の建物では、鳩が数匹休憩していた。



白鳥に睨まれたら、諦めましょう。