ちょっと散歩をしようと午後2時半。(遅めスタートはいつもです)

数年前にこの地を訪れた際、運悪く天安河原に入ることができなかった。ここ数日、古事記とアメノウズメについて再度調べていたら今日突如行きたくなった。

往路;日之影方面へ

山深い

グーグルマップは確かに役に立つが、知らない土地で迷宮に誘いこまれたことが何度もある。そのおかげで、地元の人もびっくりなルートを探索してきた。今回も”ただの散歩”のはずだった。

高千穂で見かける道祖神と鳥居は数えきれない

すんなり辿り着けそうだなとマップを見ないでいたら、途中、どこかで道を誤ったらしい。何度もグーグルが再検索をしていた。自分がどこにいるのか全く分からなかったが、途中、谷深い地域に入りこんだ感じがあった。

隣の日之影町は、ほんとにその字のとおりで、日の影になっているような谷深いところにあるんだよ

ちょうど前日そんな話を聞いていた。

ここ、日之影町なんじゃない?

グーグルが示した土地は、やはり日之影町。薄暗く狭い道には、名物の栗があちこちに落ちていた。(まだ中が入っているのもあった)人はおろか、車もほとんど通らない。緑のトンネルを歩き、高千穂方面に戻る。

高千穂橋(天照鉄道通ってる)

高千穂あるあるながら、突如、絶景が現れるので毎回驚く。この近くに国定公園の看板を見つけた。ヤブ蚊は多いが、大自然はいいもんだ。


この感じ、アゾレスハイキングを思い出して、何だかにやけてきた。慣れない土地のハイキングはたいがい天気が悪くて、軽装で何も持っていない。「私は今どこにいるんでしょうか」なんて英語いつ使うねんと思っていたが、それなりに使う。公共の交通機関はたいがい通っていないし、聞く人すらいないことが多い。今回、スマホの充電は満タンで心配なさそうだけれど、通りがかった人のスマホを借りたり、事務所の電話を拝借したこともある(ドッキリ番組さながら。親切なアゾレスの方々ありがとう)。予期しないときに予期しないことが起こる(ま、それが楽しいんだけど)。

溶岩石が広がるピコ島ハイキングにて

そんなとき、時間のムダとか、もっと効率よくとか、この大自然を見ているとそんなのどうでもよくなってきて、だんだん楽しくなってくる。肉付けできるオリジナル情報は、この手のアドレナリンの成果であることが多い。


古びた石のトンネルや、お社もない鳥居(よく水神という名称を見かけた)など、五ヶ瀬川の音だけが聞こえる静かな山の地帯を通り抜け、民家が見える場所やってきた。岩戸の地区(だと思う)。いたるところで野焼きが行われていたが、人はほとんど見かけなかった。青々とした遠くの山に囲まれた地帯で、田んぼは棚田になっておりその合間をぬう坂道を下っていく。いつぶりだかの立派なおにやんまや、しおからトンボも無数に飛んでいる。明日の町内選挙のため、懸命に支持を訴える選挙カーが、遠くの田んぼの合間をぐるぐる走っていた。

レギンスのポケットに入れてきた500円で、直売所の野菜と紫芋粉をゲットした。「ここまで一本道だったでしょう?」会計をしてもらいながらそう言われたのだけれど、どう考えても一本道ではなかった(笑)

天岩戸神社、とうちゃく。

復路;岩戸越え

行きは、予期せず迂回して疲れたので、帰りはもっと簡単に帰ろうと思った。わずかな残金でボンタンアメを買い、少しだけHP回復。いでよ、グーグルマップ。

往路と変わらない時間で表示されるルートを見つけ、着々と進んでいく。が、なんだかおかしい。どんどん上っているような、民家が減っていくような。

岩戸越え!?

山があって、〜越えってことは、まさかの峠越えってやつですか?水も持ってないのに?引き返すのも距離があったので、仕方なくこのまま進むことに決めた。(ダメージくらってここでボンタンアメ7割消費)町なか感覚でグーグル見るとこういうことになる。日も傾きはじめる時間帯、急がなければ。等高線を確認し、上りと思われる箇所まで急ピッチで歩き続けた。耳元で羽音を立てるヤブ蚊が耳障りだ。

道中、いたるところに、お遍路さんのルートがあった。この地帯は、浅ヶ部八十八ヶ所のお遍路ルートが敷かれているようだ。訪れる人が少ないのか、すでに獣道のような、道なき道になっているようなところもあった。また機会があれば、散策するのもよいかもしれない。

親しげな表情の道祖神さまにご挨拶(側にはきちんと草木や花が生けられているものが多かった)

手のひらサイズの大きな黒い蝶を見かけ、初めて見る姿に興奮したのだが(モンスターみたいだった)、その蝶を追うと、黒蝶の軍団にでくわした。が、翻弄されてなかなか写真が撮れなかった。

この道は西郷さんも通ったらしい

日の入りまでに無事下山することができた。民家のある場所まで下りてくると、またにぎやかな選挙カーの声が聞こえてきた。限界になったら選挙カーに水くださいって言おう、なんて考えるほどに喉が渇いていた。

「わざわざ農作業の手を止めて応援いただき、ありがとうございま〜す」

そして、後日

岩戸越えをしたと言うと、皆一同に驚いていた。地元の人もほとんど通らない道だという。「一本道で行けたでしょう!?」直売所で聞いたセリフだ。往復、どうやら粋なルートを選んでしまったようだ。(グーグルよ)

そのうち地元の人より道に詳しくなりそうね

ちなみに、あの黒蝶について尋ねると、高千穂では、あの”漆黒モンスター”を”あげは”と呼んでいるらしい。”あげは”と言えば、黄色のカラフルなやつをイメージするのだが、場所が違えばイメージ画像が変わるのは興味深い。