夢のエメラルドシティー

絵本の世界に迷い込んだみたい

高千穂生活のなかで、その名を知った韓国岳。”かんこく”ではなく”からくに”であることも同時に知った。当初、写真でみたその美しさに感嘆し、きっとどこか海外のお山だろうと思っていた。その後、霧島にあるとわかりさらに驚いてしまった。宮崎の土地勘もなく、近いだろうからそのうち行こうと思っていたら機会を逃した。高千穂町から鹿児島までは車で4時間程度かかるので滅多に行くことはないよと聞いている。高千穂町からは意外に遠い場所なのだ。

ヤマップやインスタにミヤマキリシマのピンクが現れはじめ、今が行く機会だろうと感じ旅の準備を進めた。滞在中はほとんど雨予報のため、唯一晴れそうな日をこの韓国デーに固定した。

1日のんびり、この韓国岳と大浪池を堪能しよう。

珍しく早起きして山道をくだり、昨日教えてもらったパン屋に寄ってから登山口へと車を走らせた。

登山口から韓国岳

えびの高原登山口

えびの高原の駐車料金は500円。登山口や登山道は整備され、ハイカーに寄り添った清潔なトイレや足湯、軽食屋などが充実している。きれいな状態で登山準備ができるのはありがたい。

おさらい

噴火による規制がかかっており、縦走はできないが道路脇の登山口から韓国岳を目指す。車は通行不可だが、登山客のみ立ち入ることができた。誘導の係員もいて分かりやすい。

もくもくと噴煙をあげる硫黄山を横目に歩いていくと眺望がひらけてくる。硫黄の匂いがきつい場所があるので、アレルギー系疾患をお持ちの方や心臓に疾患がある方は注意するようにと看板を見かけました。匂いを感じたら、湿らせた布で口元を覆い無理をしないように。

もくもくと霧島温泉郷

登山道は1本道で分かりやすく、ザレガレがあるものの比較的歩きやすい。なによりこの眺望で山歩きができるのはウキウキが止まらない。山頂が近づくにつれてどんどん魅惑的な眺望になる。

大浪池が見えた!

順調にサクサクと登っていると、鹿児島市内からの登山客に声をかけられた。

「山歩きをメインに滞在なんて、いいわねえ〜」

「初めて?韓国岳と大浪池だけしか行かないの?まだ時間も早いし、あなたのスピードなら他も周って来れると思うわよ。今の時期は本当に綺麗だからおすすめよ」

ゆるハイクのつもりだったので、思わぬ情報に心が揺らいでしまった。山行計画の際、平均ペースで全て周るととんでもない予想時間だった記憶がある。縦走ができずピストンの箇所もあるため、大幅にタイムロスになるのだ。

到着

また別の登山客に声をかけられた。地元ハイカーさんらしい。自分ちの庭のように登っているらしく地元の情報をいろいろ教えていただいた。彼女は、年配の女性だったが、目をキラキラさせながらこの霧島山の話を聞かせてくれ、少女のような眼差しで谷底にある7部咲きのミヤマキリシマを愛おしそうに覗き込んだ。

「あなた、山歩きが好き?私と一緒ね。そうね、縦走はできないから周ってくるとおもしろいわよ」

ミヤマキリシマを覗き込む女性

先のコースをどうしたものか悩みながら登頂したが、霧島の地を知る登山客の情報を聞き、他の峰や池もアタックすることにした。これは長い日になるぞ。

煮えたぎる魔女のスープ

山頂でずっと気になる山があった。真っ黒で様子がおかしい。異様だ。なにあれ。。

魔女のスープから湯気が出ているよう

あれ、何ですか?

先の地元ハイカーに尋ねてみた。旅の恥は〜、知らないことはよく知る人物に尋ねるのが早くて正確だ。

「あら、あなた、ここ初めてなの?あれが新燃岳よ。噴火して全く別のお山になっちゃった。昔はあそこまで縦走していたの。底が深くてね、下のほうに少しだけ池ができていたの。池の周りも歩くことができたのよ。火砕流が真っ黒になって流れているでしょう。山肌の噴煙も前はなかったものなのよ。」

新しい温泉街できたのかと思うわよねえ

秀逸!霧島ジョーク!

地図上でその名は目にしていたが、通行不可のためノーマークのお山だった。ここから高千穂峰まで縦走できたらどんなに楽しいことだろう。新燃岳要チェック!

ここの火山は確かに生きている。噴火で変貌したらしい新燃岳を眺めながら大浪池への道を急いで下りていった。