気鬱
島で引きこもり
気が滅入り、ここ数日引きこもっていた。自室の窓からカラッと晴れた空を眺め、何をするでもなく家事をこなした。眺めの良い開放的なベランダには長いロープが貼られ、そこにずら〜っと洗濯物を干すといかにもポルトガルらしい光景になり、その景色を見るのも好きだった。外に出たことと言えば近くの小さなディスカウントスーパーに食料を買いに行っただけだ。

異国の地で気が滅入り、ついに何もやる気が失せた。
ピコ島移動まであと数週間もこの島で過ごさなければいけない。アゾレスインの際、警察から「こんなに長いこと滞在して何するわけ?」と尋問され苛立ったが、あながち見当違いな尋問でなかったのかもしれないと思い始めていた。
日本語で話す相手がいないことも気が沈む要因のひとつだった。普段ならこの環境が好きで楽しむのだが、気分次第でここまで変わってしまうのかと妙な気分だった。便利な世の中で、国際電話で日本から叱咤激励してくれた友人たちもいて、かなり気分が和らいだが、それでも実際には会えないという現実のギャップは埋められない。
大西洋の島で引きこもりかよ(ため息)デパスほしい。。
サネラの提案
キッチンにて
ゆる部屋着のまま、いつもの通り、キッチンで食事をとっていた。全てやる気がなかったが、この料理(っぽいこと)だけが唯一気が晴れることだった。なんせ、島で手に入る食べ物は素朴で美味い。
すると、夕方アレックスとサネラが観光から帰ってきた。帰宅が早かったのでどうしたのか尋ねると、サネラがもう、聞いてよ〜とこう言った。
泳いでたらクラゲに噛まれてさ、すごく腫れちゃって痛くて病院行ってきたのよ!
そして、先生から、炎症が治るまでしばらく遊泳禁止を告げられたらしかった。一緒に泳いでいたアレックスは無事だったらしい。
しかし、私の部屋着に気づいて妙な顔つきになった。
ねえ?もしかして今日も出かけてない?ここ数日家いるでしょう?何かやることがあるのならいいんだけど、どうしっちゃたの?
限られた自身の英語力でこの複雑な気持ちを伝えるのは体力のいることだったが、2人とも椅子に腰掛け静かにじっくりと話を聞いてくれた。
その後部屋に戻った2人が、しばらくしてまたキッチンに戻ってきた。
2人で話しあったんだけどね、提案があるの。もし、あなたがよければ、明日一緒に少し遠出しない?せっかく大自然のアゾレスに来てるし、少し外の空気を吸ってみるのもいいと思うの。
思ってもみなかった提案で少し驚いたが、2人の気遣いが嬉しく、私もここに来てほとんど何も観光していないことにハッとし、行きたい!とすぐさま返答した。
2人は温かく微笑み、「そしたら、皆で明日の計画を立てましょう!」とチーム•サンタントニオの楽しいプチトリップ計画が始まった。
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA
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