八幡平の仙人

今月はじめ、H姐さまから提案があった。

もしよかったら父に会ってみる?

熊だけが通る道なき道を進む(プチ仙人修行にて)

八幡平出身の姐さまには、岩手に越してきた当初から、”山伏に憧れている”やら”八幡平行きたくてやって来た”という話をしていて、八幡平の自然環境や地域に残る伝統をいろいろと教えてもらってきた。

最初に連れてきてもらった際の、姐さまとの八幡平散策はこちら

八幡平のまち

姐さまの親父さんは仙人のような方で、姐さまの幼少期は野生的な冒険に満ちていたらしい。”熊の出る山の中で1人、父を待った”、”岩手山に散歩に出かけた(普通靴で)”などは序章で、聞いたエピソードはまだまだあるが、これはまだ小学生にあがる前の話。それが姐さまの”当たり前の日常”だったらしい。そんな仙人の英才教育を受けてきた姐さまは、今では”もう冒険は十分”と言わんばかりだ。仙人の娘は、小さい虫を見かけて”きゃっ”と後退りをした。

仙人は、サステナブルという言葉が浸透するよりもずっと前から山のふもとでミニマルな自給生活をしていて、いくつかの東北のメディアから取材を受けているそうだ。

”山”と言っても、想像とはずいぶん違う山だと思う。

私が”山”というとき、登山道や生活道がきちんと整備された山を思い浮かべるのだが、それとは異なる存在であることを覚えておくようにとのことだった。

若い頃は海外旅をしていたこともあり、姐さまが私の話をしたところ、会ってみたいと言ってくれたらしい。

私は父のような暮らしは無理。でもね、一部のマニアには憧れられている人なのよ。

私も会ってみたいと即答すると、姐さまはどこか誇らしそうにそう言った。

こうして、八幡平の山奥で仙人修行をすることになった。

仙人のジムニーで1人、仙人が戻るのを待つ