岳集落

遠野、宮古、花巻をまたぐ早池峰山。往路でこのあたりに神楽の伝統が根付いていることを知り、山行後に早池峰神社に立ち寄ることにした。その山道で、高千穂の上岩戸を思い出したように、山全体に神々しい雰囲気が漂っている。それは厳かで近寄りがたいものではなく、どこか歓迎されているような心地よい空気感だった。

自然に囲まれた神社の参道を歩いていると、神社脇のお殿でヨガをされている方を見かけた。マンツーのような感じで、清々しい風が吹き抜けるなか、眩しさを増した陽の光が彼女たちを照らしていた。なんて、心地よさそうな過ごし方!

往路で、週末に御神楽がこの地域で奉納されるという案内を見かけたが、パンデミックの影響で地元の方のみの参加のようだった。見てみたかったなと思いながら趣のある神楽殿を見つめた。

神楽殿

早池峰神社というのは、実は4箇所存在するらしい。山頂に向かう3つの登山口と山頂の計4箇所だ。山頂で見かけた無数の神々しい剣と赤色の社が奥宮だったようだ。(早池峰山頂のようすはこちら

そしてここは、南側の登山口に位置する早池峰神社の里宮にあたる。

奈良時代、険しい山々で修行を行う修験者が出現する。平安時代には、仏教と山岳信仰などが融合した修験道が確立。そのなかで、山岳の霊山である早池峰山は、山・水・海上守護の神として信仰されてきた歴史がある。

山伏が住まう岳集落があったというこの地域には、静かだが独特の清々しさが漂っている。同じ兵庫県出身の柳田國男の”遠野物語”もあることだし、遠野もまた巡ってみたい地域のひとつだ。

このへんに住んでいたならもっと長居して散策したかったが、皆に聞いたおすすめの場所に立ち寄るため、渋々この場をあとにした。いや、滝沢まで意外と遠いのよ、ああ広い岩手県(笑)