ハイタトラスハイ
凱旋帰還
ブラチスラバに帰ってくると、やはりそこは都会なのだと感じる。人も多いし、お店も多いし、時間の流れも心なしかはやい。交通機関は忙しなく稼働していて、場所から場所へと人々を乗せては去っていく。田舎から都会の空気に触れたときのような、半年ぶりに高千穂から福岡に出るときのような。少し音階のズレた場違い感があった。

それでも真っ赤に日焼けして光線過敏症になった肌を見ていると、確かに私はハイタトラスにいたのだと、勇者の勲章、証明のように感じてきて、凱旋帰還のような気分になってくる。すっかりハイタトラス中毒だ。

滞在先のアパートには、ウクライナから家族で避難してきた人の姿もあって、ニュースは現実なのだと複雑な気分になった。私は、傷を負った肌をかばうこともなく、サンドベルクにハイキングに向かう。ハイタトラスハイだった。
サンドベルク
ブラチスラバから日帰りハイキングはバスで向かう。サンドベルクからデヴィン城まで、オーストリアとの国境となるモラバ川沿いを歩いていく。これも皆に教えてもらったプランだ。

バスを降りて住宅地を通り抜けた先にハイキングルートがある。

1400〜1600万年前の海洋化石が無数発見され、現在は国立自然保護区になっている。

鳥や蜂などが巣穴で暮らしているそう。普段ならなんともないような日差しでも、ダメージを負った肌にはかなり痛い。

暑すぎるからか、辺りに人の姿は皆無。鳥の声だけが心地よく聞こえてくる。

ハイタトラス、リシー山の頂上でもうだめか、なんて覚悟したことがまるで夢だったかのような、肌を突き刺すような晴天だった。

穏やかな景観を独り占めしているような感覚。小躍りしたくなってきた。

神戸の鵯越ルートとか、たまにスキップして進みたくなる道があるけど、ここはそういう感じ。


気持ちの良い晴天でサイクリングを楽しむ人の姿をちらほら見かけた。が、歩いている人はなかなか見かけない。スロバキアはイギリスの前説のはずだったのだが、前説だけでも相当なボリュームの旅をしているような気がしている。もしかして、とんでもない旅の計画をしてしまったんじゃないかと思いはじめてきた。

不安よりも疲れよりも、楽しみのほうが優っているけれど。奇跡のようなアゾレスの出会いに導かれて紡がれたストーリー。