イギリス入国

それがロンドンさ

いったい何が旅の本編だったのか忘れかけそうになって来た7月の中頃、ようやくイギリスにやってきた。びくびくしていたライアンエアーの”荷物ごと”はあっけなくクリアしたものの、飛行機の不具合で1時間半の遅延だった。そして、安藤さんからあれほど大丈夫だと思うよと聞いていた入国自動化ゲートでひっかかった。「なんで私が」とぼやいている女の子の後ろに並び、入国審査を待った。フレンドリーな審査官二人に出迎えられ、「ま、楽しんできな〜」とあっけなく見送られた。

いよいよロンドンの街に向かう。イギリス、そう、ここが私の目的地。ようやくやってきたこの土地に、なんだか不思議な気分になりながら、空港バスに乗り込んだ。よく映画やテレビで見る景色が、次々と登場して、さらに不思議な気分だった。ロンドンの中心地はいつも混んでいて、結局渋滞に巻き込まれて予定時刻よりも1時間半遅れでヴィクトリア駅に到着した。

そしてここからも、初日の試練は続く。ロンドンバスに乗り換えなければいけないが、とにかくバスの番号の多いこと。グーグルマップは一見頼りになりそうに見えるが、ここロンドンでは主役にはならない。

いやはや、都会にやってきた。以前、ロンドナーの友人が日本にやってきたとき、「東京の電車、種類多すぎやばい」って送ってきたことを思い出し、ロンドンはそんなものなのかと思っていたけれど、このロンドンバスの多さと渋滞に圧倒された。激混み車内に大きな荷物で乗ることを考えると疲労感が増した。

すみません、今ロンドンに着いたばかりでよく分からなくて。目的地までどういけばいいか教えていただけますか?

聞いたほうが早い。近くで目の合った年配の男性に尋ねてみた。小綺麗な身なりをした白髪の男性で、想像どおりの”イギリス紳士”だった。

私は生まれも育ちもずっとロンドンだが、ここはいまだによくわからん場所だよ。だからおもしろいのだけどね。それがロンドンさ。ようこそ、ロンドンへ。

男性は行き方とおすすめアプリを教えてくれた。そして、自身のバスが来ると、乗車口で私に向かってこう言った。

君のイギリス滞在がすばらしいものになりますように!道中気をつけて、そして楽しんで!

男性はにっこり微笑むと、スッとロンドンバスに乗り込んだ。なんだかいい旅が始まりそうな予感がする。結局、遅延しているバスを待ち続け、昼過ぎの到着予定だったのがもう晩になっていたのだけれど。