師との対話

くうさん

京都訪問が決まった瞬間に思い浮かんだのは、”くうさん”だった。くうさんについては以前の記事で詳しく紹介している。一言で言うと、大学時代の親友で私の旅の師匠。私の旅スタイルは、彼女から学んだところが大きい。

早速連絡を取ると、彼女から驚きと嬉しさにあふれた返事が返ってきた。彼女がインド赴任から帰国した際に会って以来なので、もう随分長い間会っていない。

久しぶりに顔を合わせるドキドキとワクワク感で集合場所に向かう。くうさんが、地元で一押しの和食割烹屋さんを予約してくれている。

え!なんか雰囲気変わった!?なんか、昔よりも堂々としてて、すごく素敵になってるやん!

年を重ねてあどけなさが減ったのか、旅を重ねて度胸が付いたのか。でもまあ、こういう嬉しい言葉をさらっといつも自然に口にしてくれる、くうさん。本当に思っていることしか言わない彼女の性格は知っているので、なおさら嬉しい。

くうさんは、前から変わらずの素敵さを保ってますな。

いつもアクティブで、これまでたくさんのインスピレーションをくれた旅の師匠、くうさん。実は、最近はもう大きな旅はしなくなったのだと少し諦めと寂しさが混じった複雑な表情で語ってくれた。歳を重ねた両親のこと、お家の事情、自身の心境の変化、いろいろなことがあったらしい。ただ、そこに悲壮感はなく、今に満足して楽しんでいると笑顔で話してくれた。

私は改めて、これまでにどれだけ彼女から旅の手ほどきを受けて学んできたのか、そして感謝しているかを伝えた。彼女の教えがなければ、私はあのときの一歩を踏み出せていないかもしれない。すると、くうさんは謙遜しながらこう言った。

そう言ってもらえるのは嬉しい。けれど、今はもう私よりもいろんな土地に行って旅慣れているように見えるし、話を聴いているとね、どれだけ旅を楽しんでいるのかが伝わってくるんよ。それは、きっと自分自身で経験して見つけたものがたくさんあるからやね。

旅の師から、一応の卒業認定されたような気分になった。ただ、卒業しても彼女への尊敬は変わらないし、彼女が進む新しい別章を聞くのも楽しみだ。昔からそうだが、彼女と話していると、過去、今、未来が交差する歴史物語のなかに引き込まれたように感じて、とてもおもしろい。

雰囲気変わったって言ったけど、話したら2人とも大学時代とあんまり変わらんな。

笑いながらくうさんはそう言って、結局私たちはお店の閉店ギリギリまで語りあった。その昔、講義おわり、話がとまらなくなって守衛さんが講義室に鍵をかけにきたことが何度もあったっけ。次回はまっさんも呼ばないと。

旅の師匠、そして舞踊の師匠に出会った日。京都の夜空を明るい満月が照らしていた。胸いっぱいになりながら、ホステルに向かう。