岩手の百名山

岩手には百名山が3山ある。岩手山、八幡平、そしてこの早池峰山。私自身、特に百名山にこだわって登っているわけではなく、正直、全国にある有名な山の名前もよく知らない。SNS等で目にする山は確かにいくつかあるが、岩手に越してきた理由がそれであったように、そこでの風景写真にハッとして行ってみたくなることが圧倒的に多い。”標高”や”百名山”のような山の肩書きは後付け程度で十分なのだ。

初早池峰、てんくらA

岩手山が家から一番近かったので、思いがけずここに最初に登頂することになったが、このとき、職場の人たちからよく聞いたのが、この”早池峰”だった。

山好きなら早池峰いいよ。鎖はあるけれど、登りやすくていい山なんだ。

岩手山はやや過酷、八幡平は気軽なお散歩、そしてこの早池峰が一番”山登り”と呼ぶに相応しいらしかった。好みや見解は人それぞれだろうが、今回登ってみて、その言葉は私もしっくりきた。

ちょうどいい。

早池峰への道

“はやちね”など、聞き慣れなかった山の名も、今では名を聞くだけで地図が出てくるようになってきた。

しかし、岩手県民の距離感覚をなめていた。皆、ここから近いような口ぶりだったが、滝沢から早池峰までまあまあな距離だった(岩手広い笑)図らずも早起きし、お昼のマフィンサンドを手作り。まだあたりが薄暗いなか荷物を積み込んで、早池峰目指して車を走らせた。

早池峰の山道は、まだ早朝だからなのか、心配になるほどガスっていた。車のライトを付け、モヤに包まれたなかを進んでいく。そして、ここらの雰囲気にデジャヴュを感じていた。

あ、上岩戸だ

深緑にかかったモヤにはどこか神聖な空気が漂い、ふと上岩戸よりさらに奥地にある二ツ岳への山行を思い出した。途中、トイレ休憩に立ち寄る。息をするとすっと冷たい山の香りがした。そして、この休憩所で1枚の紙を見つけて手に取った。

え、早池峰神楽?

そう、この土地でも神楽が奉納されるらしい。またワクワクする情報を見つけてしまった。

登山口までの山道にはいたるところ滝があり、早池峰神楽の情報も得て、河原坊駐車場に着く頃には清々しい気分になっていた。山に近づくにつれて霧も晴れ、てんくらAが嘘でなかったことに安堵する。

登山口情報

早池峰を後回しにしていたのには、まだ理由がある。

マイカー規制

早池峰山には、混雑を避けるため6月上旬から8月上旬の土日祝対象で一般車両の乗り入れを禁止するマイカー規制が敷かれている。指定駐車場に車を止めて、そこからはシャトルバスを利用するらしい。パンデミックで休止が続いたらしいが今年は運行されたようだ。

ただ、バスの時間を気にしながらの登山は、なかなかしんどい。そう敬遠しているうちに、バス運行期間も過ぎ、規制が解除されたタイミングで行くことにした。

けれど、規制解除のあと待ち受けているのは、駐車場の問題。

河原の坊登山口は現在立ち入り禁止

早池峰山に登るには小田越登山口が一番近いが、現在そこには駐車場がない(昔は停めれたらしいが崩落などあり現在は禁止になったよう)。そのため、河原の坊駐車場に車を停めて徒歩で2km程度、小田越登山口まで歩かなければいけない。距離にしたら大したことはないのだが、この山に登る前後の車道を歩く時間というのは、少しため息が出てしまう。

山はいいが、あの前後の車道がきついんだ

先日、山を登る方が言っていた。

テンション↑の日はダッシュ
登山案内

あたりの山は、夏から秋への今まさに衣替えを始めたころで美しく、山登りの日はこうでなきゃという模範を見せてくれているようだった。

いつもなら苦痛に感じる車道歩きだが、好条件が重なり難なくクリアした。

駐車場に隣接するトイレはありがたい

優等生、早池峰さん。