浄土思想の平和の地

世界遺産

平泉は言わずと知れた世界遺産のまち。歴史的建造物や遺跡などの文化遺産が資産として登録されており、中尊寺、毛越寺、観自在王院跡、無量光院跡、金鶏山は5資産と呼ばれています。平泉の文化遺産は、貴族社会から武家社会への転換期にあたる平安末期のおよそ100年間、奥州藤原氏三代によって築かれました。

歴史には詳しくありませんが、中尊寺前に立ち寄った「平泉世界遺産ガイダンスセンター」や、これまでの岩手生活で手に入れた観光案内冊子あれこれで少しばかり知識を入れることができました。平泉来訪の際には、「平泉世界遺産ガイダンスセンター」おすすめです。

教科書にも出てきた、中尊寺。さすが平泉の一大観光地だけあって、ほとんどの観光客は中尊寺目指してやってきているのでは?

あ、”餅”勢もいるかもしれません(笑)

中尊寺公式ページ

月見坂

中尊寺本堂、金色堂の表参道として利用されているのが、この月見坂です。お寺関連の売店やお茶処などもありました。

正直、こんなに急で長い坂を歩き続けることになるとは思っていませんでした。体力に自信があったので、寺まで走ろうかななんて考えていましたが、とんでもない。中尊寺は、標高130m程度のところにあるようですが、まだまだ先です。途中、ご家族に支えられながら、ご高齢の方が坂の脇にあるロープを力いっぱいに握って登っていらっしゃる姿を見かけました。この日は雨で坂道はところどころ滑りやすくなっており、ご高齢の方が1人でたどり着くのはなかなか体力のいる坂道です。

母のこんな話もあります。

まだあなたがお腹にいた妊婦の頃、お父さんと中尊寺に行ったのよ。お腹が大きくて、あの坂道を歩くのが怖くて、しんどくて一苦労だったの。なのに、お父さんったら知らん顔して1人でスタスタと先に行ってしまったのよ。ほんと信じられなかったわ。

母の忘れられない中尊寺エピソード

ああ、父よ。何十年経っても、”中尊寺”のワードで保管されている母の記録。こういう記憶は消えないようですね。

表参道の諸堂

表参道沿いには、諸堂が多数点在しています。

境内マップを予習してこなかったので、「中尊寺?」⇔「違った!」の1人ツッコミを何サイクルか繰り返しました。

東物見台

月見坂の坂道を登っていると、途中眺望が開けた場所があります。

遠くにゆるくカーブを描いて流れる大河が北上川、左手から衣川が流れ、北上川に合流しています。平安初期まで、この衣川以北は、中央政府の支配が及ばない「外地」であり、この川が内なる境界となっていました。いにしえの都人の歌にも多く詠まれ歌枕にもなっている、名に知られた衣川です。水田となっている一帯は、前九年の合戦の舞台となった衣川古戦場、また弁慶立往生の地と伝えられています。北上川の向こうに望めるのが束稲山。

中尊寺公式ページ 境内のご案内より

高校時代から印象に残っている歌人、西行法師が平泉で詠んだ句碑がありました。

きゝもせず束稲やまのさくら花よし野のほかにかゝるべしとは

奥州藤原氏の全盛期、束稲山に1万本の桜が植えられていたそうです。

表参道だけでも見応えたっぷり、坂道負荷もたっぷり。本堂にたどり着く頃には、観光を8割終えたような気持ちになっていました。(いや、これからやって)