山登りと熊さん

室蘭の自然と新鮮な山情報

移住後の調査することはたくさんあるけれど、山登り情報を地元の人たちから伺うのも重要事項のひとつ。安全な山行第一。インターネットや山の掲示板情報だけではわからない生の情報がそこにある。

岩手でも、熊がいるのが当たり前の地域だからと情報をいろいろ伺ったが、情報を知っていても常に危険と隣り合わせであることを肝に銘じるようにと仙人の言葉を強く意識していた。

ここ室蘭でも、連日全国ニュースにもなっているように、この時期は市街地でさえ熊の目撃情報が相次いでいる。

熊が出るというくらいだから、さぞかし自然豊かな場所なんだろうと想像していたが、室蘭は歴史的な工業地帯だった。確かにグーグルでも燦々と煌めく工業地帯の写真が出てくるし、社会の授業でも習ったことがあるのかもしれない。それでも、やはり見慣れた西日本の植物とは少し違う雰囲気の”草”がワイルドにあちこちに自生している。

”道草”のクオリティーが高い

熊、山の動物たち

今は腹を空かせた熊があちこちで餌を探している。山登りは、熊が腹を満たした夏に行きなさい。

工業地帯の奥に室蘭岳(鷲別岳)が見える

地元の人たちは声をそろえてそう教えてくれました。高千穂でも”鹿駆除強化月間”で山に入れない時期がありましたが、今回は”腹ペコ熊さん”を回避すべくしばらく山には入れなさそうです。熊よけのスプレーやらホイッスルなど、対策グッズは多々ありますが、地元情報ほど有力なものはありません。おとなしく従うのが良さそうです。

これまでの熊保護のツケがまわってきたんだ。増えすぎてしまったんだよ。

訝しい顔つきでそう話す人も少なからずいました。

この問題に関しては、世界で各種論争が繰り広げられていますし、二項対立を煽るような過激な論争も意図するところではありません。ただ、”害獣”とか”駆除”とか、”ヒト”を主軸に置いて他種をそのように支配するような言葉遣いは、どこか違和感を感じ個人的に好みではありません。本来の弱肉強食の生物ピラミッドに従うとすれば、もうこの世界は成り立たないのでしょうか。いろんな”当たり前”がここ数年で大きく変わりました。かくいう私も”ヒト”ですが、ヒトを主体とするこの世界のあり方をもう少し優しいものに変えていきたいですね。