南インド料理を求めて

偶然の出会いから

道端で教えてもらったとおりに歩いていくと、すぐに見つかりました。

お客さんはインド系の方オンリー。人気店のようで、みるみる席が埋まっていきます。

ここで食べます〜と告げると好きな席に座るように言われました。地元の方は、いつもの!みたいな感じで注文していましたが、何も分からないのでメニューを持ってきてもらいました。コスパいいよ!と聞いていたとおりです。

周りを見渡すとお客さんのほとんどが食べているものがありました。

世間話

いい選択だね。おすすめだよ。

隣席のおじちゃんが笑顔で話しかけてきました。名はクリシュナーさん。

話の内容や雰囲気が活動的な大叔父にそっくり

リトル・インディアの雰囲気は大好きなのですが、”偶然居合わせて世間話”、というようなスモールトークの機会が欧米より少ないように感じていました。

クリシュナーさんと話していると、どこか欧米を思わせるような空気感を感じていました。聞けば、オーストラリアに長年住んでいらっしゃったのだそうです。店内にはヒンディーが飛び交っていますが、英語でインドの文化や料理、作法、歴史、現地のおすすめ情報などを丁寧に教えてくれました。

着飾らないローカル感たっぷりの雰囲気。クリシュナーさんの話もおもしろく、居心地がよくなり、お気に入りの場所になりました。

ベジタリアン・ターリー

ターリーとは

ターリーは、インド、ベンガル地方、ネパールの代表的な料理の提供形態のことで、いくつかの料理が組み合わされて大皿にまとめられて提供されます。ターリーは大皿を意味する語で、「定食」と考えるといいかもしれません。

多くの場合、それぞれの料理がカトリと呼ばれる小さなお椀に小分けにされます。ここではプラ容器ですが、金属食器を使っているお店のほうが多かったと思います。バナナの葉は使用後すぐ破棄して新しいものと取り替えることができ、ヒンドゥー教の浄/不浄観の概念に好ましいようです。地元のインド系の方は皆さん手で食べていましたが、店員さんに頼めばスプーンとフォークを持ってきてくれます。ただ、これもプラ製で使い捨てになってしまうので、手で食べない場合はマイカトラリー持参がベストです。

インド料理の考え方に、6つの味覚(甘味、しょっぱさ、苦味、酸っぱさ、渋み、辛味)がバランスよく含まれていなければならないというものがあり、ターリーはそれを反映したものになっています。

全てバナナの葉の上で、ライスとスパイス料理を手で混ぜ合わせて食べます。

左端のスパイシーな野菜たちはおかわり自由

ターリーの料理構成は地域によって異なるそうですが、米、ダール(豆カレー)、野菜料理、パーパド(クラッカー)、カード(ヨーグルト)、ひとくち分のチャツネ(ソース)や漬物、デザートといったメニューが一般的だそうです。主食の周りに、それぞれに消化を促進するスパイスを使ったものを配置しているんだよ、とクリシュナーさんも言っていました。

これは甘いからご飯にかけるのNGだよって教えてもらった(笑)ジンジャーと豆の甘味スープっぽいやつ。
赤いのが漬物。クリシュナーさんが「この子らにも持ってきてあげて」と頼んでくれた。塩辛くて、梅干しっぽい。勝手にインド梅干しと命名。

このターリーには、”食べること”が詰まっている

スパイスを効かせた料理は胃腸を刺激し、ともすれば胃もたれを起こしそうな気がしますが、消化を助けるようなスパイスも併せて盛り込むことにより、不思議と一度ももたれることがありませんでした。野菜と豆がメインのベジタリアン食という側面を考慮しても、一番の驚きでした。それどころか、ほどよい満腹感が得られるため、ついついしてしまう暴飲暴食がなくなりました。血糖値スパイク、乱降下が起こらない料理は積極的に取り入れていきたいですね。ま、そんなことは差し置いても、本当に美味しい料理でした。

聖地、認定!

プラントベースの食事をしていると言うと、クリシュナーさんがまた別のベジレストランを教えてくれました。今後行ってみよう。