MRTダウンタウン線

待っていました、この場所を

どこもかも人工的に整備されたこの国で、私は悩んでいた。

この国の人たち、ハイキングとかしないの?

いや、そんなことはないはずだ。メルボルンで出会ったシンガポール人ご夫妻は自然が好きで普段から自然に親しんでいる風だった。

しかし、ガイドブックには何も載っていない。ベイサイドのガーデンズが、この国の自然代表であるかのような口ぶりで書かれている。

この国には、山らしい”登る”系の山がないから

これは、現地の人から幾度となく聞いた言葉だった。

いや、どこかに自然はあるはずだと探索していると、面白そうな場所を発見した。幸い、国土は狭く、便利なMRTも網羅されていて、アクセスも問題なさそうだ。

確かに、”登る”系ではないが、”歩く”系であるらしい。

レイル・コリドー

MRTダウンタウン線に揺られながら、ゆっくりとブキ・パンジャン方面へと向かった。シンガポール動物園方面にあるというと、馴染みのある方も多いかもしれない。終着駅2つ手前のヒルビュー駅で降りる。ここが、本日のハイキングのスタートポイントだ。

ルート入口がわからなかったので駅員さんに尋ねた。ハイキングの格好をしていたからか「レール・コリドーは線路沿いだよ。そっちの出口から出るといい」と親切に教えてくれた。ここらで、”ハイキングする”とは、”レイル・コリドーを歩く”なのだろう。

MRT ヒルビュー駅

駅前は整備された郊外の住宅地といった感じで、中心地の喧騒から離れて、ゆったりとした時間が流れている。

駅前の通り

「まさか、このまま街なか歩くのかなあ、、」

そんな考えは期待ハズレであってくれと、センスよく緑の配置された住宅地を抜けると、突如それらしい遊歩道が現れた。家族でハイキングに来ている人や、ジョギングする人、サイクリングで爽快に疾走していく人など、それぞれにこのルートを楽しんでいる。

レイル・コリドー始点発見に歓喜

道路は綺麗に舗装されており、特別な装備はいらない。普通のスニーカーで十分だ。少し先で、ヒールを穿いたおしゃれなギャルたちがポージングを決めながら歩いていた。

日本でいうところの鳩やカラスと同じ頻度でよく見る鳥

しばらく歩いていくと、ローカルな雰囲気漂うショッピングモールを発見した。その名も”ザ·レイル·モール”と言うらしい。

ザ・レイル・モール

飲食店やスーパーが軒を連ね、地元の人たちで賑わっていた。ハイキングに持っていくランチをここで調達した。

この場所からも線路がはっきり見える。

中心地より、郊外のが落ち着くなあ。

ヒールのギャルたちは、ここを終着点に遊歩道から外れていった。

私は再び遊歩道に戻り、レイル・コリドーの線路を目指して歩いていく。ここからは、心地のよい自然散策路が敷かれている。

南国特有の彩度をまとった自然に囲まれ、いたるところで野生動物に出くわすレイル・コリドーのお話は、また次回。