ホームにて

私の遊び場、リトル・インディア

帰国日は、空港に向かうまでそれぞれ好きに過ごすことにした。

新テッカでコピを飲んでから、ゆったりとインド飯を食べに向かう。

フェヌグリークを頬張りながら、マスターにおすすめのアーユルヴェーダ店を教えてもらう。出口のキャッシャー台に肘をつきながら、とりとめもない話を交わした。

いい話ができた。またおいで。

外に出ると眩しい日差しが、カラフルな建物とフルーツに反射していた。

ヒンディー、フルーツの匂い、花の香り、喧騒のインディアンダンスミュージック、サリーの人影。ここに来るまで全く馴染みのなかったものが、あっという間にホーム感を感じるものになっている。MRTでリトル・インディア駅に帰ってくると、どこかホッとする自分に気づく。

行き先は決めていなかった。ここまでの滞在の記憶を街に辿り始める。地図などいらない。まだ見ぬ場所を興味の向くままに右往左往歩き出した。ここと繋がっていたのか、この辺りはまた景色が違うなとさながら”ローカル・プレーヤー”。学生時代、地元での街歩きをそう名付けてからもうどのくらい経ったのだろうか。

しかし、万人受けする”快適”な滞在だったとは言い難いかもしれない。”快適”な場所は浸水しないし、虫の大量発生に立ち会うこともない。けれど、フェイクに覆われたことが多い世界で、そんなリアルなイベント開催も”たまには”悪くない。しんどいことも多いし、不便さもあるが、そのなかに”生きている感じ”があるのは、東北で経験した”プチ仙人修行”にも通じるところがあるように思えた。

花屋の兄さんの花編みは圧巻

あまりにウロチョロしているので、道端でとある店の店主から呼び止められた。どうやら顔を覚えられていたらしい。

お嬢さん、住んでるの?それとも、ただの旅かい?

テッカが再オープンした暁には、伝統衣装探索に来ようと思う。聖地やリトルインディアアーケードでパンジャビドレスを漁ってみたがこれといったものが見つからなかったので、これはもうリベンジしかない。(ちなみに、パンジャビドレスを試着した際、マッキーが私を見て「美川憲一」と小声で呟いたのを聞き逃したわけではない

リトル・インディアには、こういったテーラーがいくつもあって、店内には無数の生地が保管されている。

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色デザインの組み合わせ考えるのおもしろい

伝統衣装を身に纏い、ゴールドとガラスのジュエリーを盛大に付ける。何をしたいのか。

踊りたい

そんな妄想をしながら、また右往左往。

これまで散々探しても見つからなかった好みのデザインジュエリーが、まだどこかにあるのではと期待しながらウインドウショッピング。表の通りに溢れかえる観光客は、裏通りに入るとほぼ誰も見かけなくなる。観光”らしい”場所はないし、日常品を買う地元の人をちらほらみかける程度だった。

ただ、スイーツに関しては、極甘インドスイーツよりニョニャスイーツ派。

インドスイーツのラドゥー、これはベジタリアン仕様になっている

穏やかなお昼過ぎ、そぞろ歩きのローカル・プレーヤー参上!

もうすぐ帰国の時間が迫っている。