旅スタイル

この話は先にも書きましたが、前回のシンガポール旅を振り返ると、安心で快適な、ともすればどこか無難過ぎる旅でした。有名な観光地を急かされるように巡り、滞在も日本とさほど変わらず(いや、それよりも快適な)リゾート旅。当時、友人の強い希望もあってベイサイドに滞在し、滞在で苦労した記憶は全くありません。ベイサンズのアメニティーは、過去史上最強にいい香りでした(笑)あの香りの虜になり商品を探したのですが、見つからず、いまだに残念に思っています。あれは非売品なのでしょうか。

自分スタイルの旅では絶対に出会うことのなかった景色ばかりで、それはそれで貴重な時間だったのですが、どこか物足りなさを感じていました。

そんな前回旅と比較しながら、シンガポールの街を縦横無尽に歩いています。

今回の滞在は、”次戻ってくるならこの場所に”と願った土地、リトル・インディアの格安ホステルに滞在しています。

リトル・インディアの大通りは、地元の人も多いですが観光客の姿も多く見かけます。

しかし、1本細い通りに入ると、地元の人たちの日常風景が広がっています。店先にはインドやバングラデシュから出稼ぎにきた兄さんたちが、地元の人とおしゃべりしながら仕事をしています。

色とりどりの美しいサリーを纏った女性たちがスーパーへ買い出しに、パンジャビドレスの女性たちが、ヒンドゥー教寺院にお供えする花の飾りを買いにと道路を横切っていきました。灼熱の昼間を避けるように、市場は、夕方からより一層華やかさを増します。

ヘナタトゥーアーティストたちが、観光客を中心に「どう?やってかない?」とデザインカタログを広げています。見事な芸術作品です。

地元のご婦人たちが行列をなしていたスイーツ店の軒先には、うっとりするようなインドのお菓子がたくさん並んでいます。初めて見るスイーツばかりだったので、隣のご婦人にあれこれと教えてもらい、おすすめをいくつか買って帰りました。例外なく甘かったですが、初めてのお菓子に大興奮でした。

先に書いた格安ホステルドミは、パーソナルスペース最低限。もちろん荷物を広げるスペースなどなく、水場は常に浸水状態。お湯もろくに出ず、小虫が大量発生。そのほかも挙げればまあキリがないのですが。ヨーロッパのホステルとは少しばかり事情の違うホステル。それでも、格安ドミなんてそんなもん。「ああ、このタイプか。ちょっと疲れるやつね〜。」などと考えていたのですが、マッキーは2度目の海外。衝撃はかなり大きかったようです。東南アジアの気候ならではで仕方がないことも多いのですが、ホテルとは勝手が違うよね。

また、欧米のホステルでは、よく旅人同士で食べにいったり遊びにいったりして仲良くなることが多いのですが、パンデミックで変わってしまったのでしょうか、お国柄なのでしょうか、それともここのホステルが偶然そうだったのでしょうか。スタッフとも宿泊者ともほぼ交流がなく、それがこの滞在環境の過酷さに拍車をかけているように思えてなりませんでした。

しかし、街を歩き、スパイスやフルーツの香りが漂ってくると、この滞在環境の面倒くささやしんどさも、不思議と旅の醍醐味のような気がしてきます。そんな土地の空気感にテンションもあがり、大叔父のように地元の人たちに話しかけてみます。まだまだ知らないことだらけなのです。

そんなご機嫌な環境に口角を上げながら、今日もお決まりのマサラティー。

前回旅と今回の旅、単純にどちらがいいと断定はできませんが、自分の好みはやはり、しんどいけど最高におもろい今回旅なのです。

隣でマッキーがつぶやきました。

私はあなたの前回旅に1票。あなたの友人のスタイルに1票。

ベイサイド派マッキーより

それぞれタイプが違うからこそ、いろんな経験できる旅。